この日は副業の面子とはスライドさせた盆休みの2日目。
リフトマンは現場に穴を開けられないので空気を読んだ結果です。
昨夜は玄関先に瀕死のセミが転がっており、なんとニイニイゼミでした。
私の記録では最後に見たのは2019年の7月末になっていたため、
地元に限っただけでも珍しい昆虫になってしまっています。
そして本日、母を乗せて買い物へ出た帰りに少しドライブしたところ、
ふと思い立ち、私が通った高校への通学路を走ってみることにしました。
過去に何度か書きましたが、高校へは自転車・電車・徒歩で通学しており、
ことに駅までは休憩なしでも20分ほどかかる距離でした。
その距離を、進級試験の当日に「生徒証がない」と公衆電話を受けた母は、
私に会うため朝から駅まで全速力の自転車で走ったことがあります。
試験を受ける際は生徒証の提示が必要でした。
その電話を切って十数分後、生徒証は内ポケットから出て来ました。
しかしそれを伝える術が───
「あの頃は携帯電話すらなかったわよね」
「そうか……ないんだよな携帯電話」
───少なくとも一般的ではない。
家族は無人の状態ですし、母の居場所も分からない。
そして母は「家の中を探しても見つからなかった」という報告ができない。
結局、母は2駅目まで来ていたそうです。
その後に諦めて帰宅したところ、私からの2報目で胸を撫で下ろしたとか。
私は1教科分の試験が受けられず、数日後に追試を受けています。
かつて鼻タレ小僧だった私でも"四半世紀前"なんて言葉が使えるくらい、
今となっては道中も様変わりし、田んぼがなくなって大きな会社が建ち、
50メートル先を隠した古民家ひしめく路地は一気に見通せる潔さ。
それでも、記憶の光景に重なる部分が脳裏に訴えるのです。
「懐かしいわねぇー! そうそう、この裏道よ」
「通れるかな……自転車でしか走ったことがない」
とある工場倉庫の裏手にある、車一台がギリギリ通れる細い道。
そこを通り抜けた時、母は頭の中の地図が記憶どおりだったと喜びました。
不運や不便を通り抜けた思い出の味わいって、ワサビみたいなものですかね。
- 2023/08/26(土) 23:59:00|
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