この日は副業の終わり際にベテラン補助員が居残っており、
上役からの指示でフォークリフト取り扱いについて指導を受けていました。
……と書くと、何か事故でも起こしたかのようですが、
数日前に私も指導を受けており、いわば定期的な注意喚起という感じです。
幸いなことに、現場では誰かが大けがをするような事故は起こっていません。
"運転"と名が付く行為には安全上の注意義務があり、
数多くの「~では**せよ」といった指示がある中で、
律儀に守っていては作業が立ち行かないこともしばしばです。
ベテランともなると「体で覚えたもの」を否定されることも多く、
流儀ともなった手癖を諫められるにあたり、障害となるのは往々にして───時間。
「こ~んなこと、やってられるか! 間に合わへんがな」
「……まぁ、そうなんですけども」
「そんなのよりアレを何とかせぇや、何年も前からワシが云っとるやろ!」
解説に来るのは二回りも若い指導員。
経営層は社員に自助努力を迫り「お金の要らない投資」を実現させがちです。
職場が数年越しで熱望する小額投資を無視して理想を語り、さらには要求し、
結果が出なければ指導と云う名の地団太を踏む……と書くと分かりやすい。
そうしてフォークリフトを前に指導を請けるベテランは、
数えて十回目の同じ説教を食らう子供みたいに"面白くない顔"をするのでした。
「だはははは」
離れたところで笑ってしまった私に、手を振っています。
「早く終わんねぇかな」とでも云いだけでした。
十数年の専業で久しく忘れていた、この空気が不本意ながら楽しい。
- 2023/03/25(土) 20:52:56|
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