この日は一つ歳をとりました。
父が私をもうけた歳に並んでしまったのは親不孝と云うべきか。
今さら何か・誰かのせいではと考えるほうが親不孝なのか、
人間は存在そのものが大きな悩みだと云うことにしよう。
お米が尽きていたので買い出しに出た帰り、畑で大根を収穫すると、
菜園仲間でもある小父さんが押切を借りたいと云って来ました。
「オーイ、あれあるか」
「その上のボックス」
「これか」
この人に押切を貸すと手入れをされて戻って来ます。
それが目的で貸すわけではないものの、一方で私が押切を使う頻度は少なく、
残渣を細切れにする時くらいであるわけですが───
「去年やろうと思ったけど、やらず終いだった」
「何を?」
「隼人瓜(はやとうり)のツル」
───こういった作業には適した時機というものがあります。
時期ならぬ時機……すなわち水分が飛んで枯れてしまう前にです。
「あーんなもん、すぐに切らなきゃアカンわ」
「そう、もう埋めるしかない」
「でなきゃ佃煮にして食やえぇな」
「食わすか(食えるか)そんなもん! 作ったら食えよ絶対に!」
「ガハハハハ、そりゃそうと晩白柚(ばんぺいゆ)食うか」
「あ、欲しい欲しい」
こういう軽口を叩き合える関係は心地よいです。
晩白柚は世界最大の柑橘類とされ、体積の半分ほどが分厚い皮。
収穫後、半月くらい放置して「小さくなった?」と思える時が食べ頃です。
あのツルを埋める穴を掘らなきゃならんのか……半日仕事だな。
- 2023/03/06(月) 23:59:00|
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