第27緑化地区

フリーイラストレーター七片藍のブログ/第27緑化地区

孤高なる眼差し

北緯32度37分40秒、東経129度44分18秒、
長崎港から南西十数キロの海上にある端島(はしま)は、
「軍艦島」とも呼ばれ、かつて採炭で栄えた島として有名です。

閉山し島民が離れ廃墟となってなお、その物悲しい姿に惹かれる人は多く、
島の模様を撮影した映像や写真集などを見かけることがあります。
 
私も廃墟は好きですが、出入りが禁じられた場所に対する冒険欲ではなく、
万物に平等であるはずの時間というものが、社会から切り離されて人知れず、
どこか何かしらの変異を遂げ心を持ってしまう幻想を抱かせるからです。

もちろんそんなことは無いでしょうし、それこそ「頭の中がお花畑」ですが、
社会という巨大で厳格な秩序から離れた「誰も知らないところ」こそ、
我々の埒外(らちがい)にある物が自由を謳歌して良いように思えます。
そうでなければ、この世界はあまりにも「人間色」に染まりすぎるのではないか。

───という私の妄想はさて置き、こんな書き出しをしましたのは、
昔からお世話になっていて先日「手作りチーズケーキ」を下さった小母さんが、
この軍艦島の育ちであることを昨日の母の話で知ったことによります。

「淡々と話すもんだから、母さんも聞き入っちゃった」
「そうなんだ……はあ~……」
「何十年の付き合いだけど、初めて聞いたわ」

その場に居合わせなかったことを残念に思いました。
まさかこんな身近に、あの島に所縁のある人が居るなんて。

地元でも色々な場所で古いものが姿を消し、
人が住んでいるのを見たことがなかった建物が、ある日突然に取り壊され、
いわば次なる価値への洗礼を受ける姿は何度も見てきました。

しかしその洗礼を受けることなく、ひっそり私達を観測するかのような廃墟には、
私達にはない特殊な感情があり、それでいて気高くすらあるように感じるのです。

人の過去を根掘り葉掘り聞くことは出来ないので、改めて小母さんには尋ねられませんが、
昨日の母に話した時のように、いつか昔話を聞けたらいいなと思いました。
  1. 2011/07/05(火) 22:57:22|
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