この日は副業の帰り際に所長から声を掛けられました。
私は大抵が居残りなので、現場全体のことについて尋ねられたり、
残務を託されたり、たまには作業上の改善について相談されたりもします。
「───というわけで、この端末で写真を撮っておいて欲しいんだ?」
「はぁ」
「本社の指示でさ、俺も本っ当に下らないと思う」
就業時間の冗長を防ぐため遅延が発生した現場を撮影し、
これを平均に照らして改善を促す、あるいは指導をするというもの。
そんなもの、わざわざ撮影するより記録を取れば済むことですが───
「なんとまぁ……」
「下らないでしょ、悪いんだけど」
───改ざんの余地を作らぬ遅延現場の特定が効果的と考えたか、
消極的に云えば「炙り出して吊し上げる」というわけです。
私は、補助員として正社員とは概ね良好な関係を築いており、
どちらが上で下なのかと云ったギスギスしたものはなく、
むっつり云いたいことを云えない環境でもないと考えます。
そこに持って来て「お前はトロい」と指差すような行動は、
端的に云って、仕事であると割り切っても諍(いさか)いの素です。
そして写真記録と時刻を併記する必要があるらしく、
遅延と判断される時間帯に当該現場へと赴く必要がある一方、
私が処理する残務は、あちこち歩き回って落ち着きがないのも事実。
「ちなみに、その時トイレに行ってた場合はどうなるんです?」
「……そっか、そうだね、もう本人に撮ってもらうか」
トイレから戻るまでに作業を終えていたら、証拠が押さえられない。
しかし本人は理解しているはずなので、不本意ながらケツを持ってもらう。
まぁ、とりあえず逃げ切れて良かった。
- 2022/10/18(火) 23:59:00|
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