この日は副業での作業中、不意に頭の中で古いアニメの主題歌が流れ、
それが長々と10時間くらい続き、気分は子供時代でした。
流れていたのは「ドロロンえん魔くん」の「妖怪にご用心」です。
実写画像とアニメを組み合わせたエンディングテーマ映像なのですが、
このアニメを特に好んで観ていたわけではなく、弟か妹が楽しんでいました。
私は本編内容よりもエンディングテーマ映像の印象が強く、
暗めのコントラストを効かせた実写が、とにかく薄気味悪かったのです。
不安を煽られるような、疑わなくてよいものまで疑いたくなってしまう、
"ご用心"という注意喚起が(私にとって)効果てきめんなのでした。
そして、あの映像が大好きでもあったのです。
昨今、目覚ましい映像技術の進化によって現実と創作の境界線は希薄ですが、
そうなる前の「これは現実、あれは創作」と分かっている時代において、
アニメ(創作)の中にゴトンと重々しく転がされる実写映像は……息を呑む。
楽しい雰囲気のぶち壊し、綺麗な景色の中にある血しぶき、
食卓に現れる虫、暗闇にシルエットしか見えない何か。
こういう、自分では制御できないものを怪異とする時、
それを目に見える形で表わしてしまう作業のひとつが、
ありもしない生き物・怪物を描くことだと思っています。
してみると、私は長いこと「解決できない自分の不安」と隣り合わせで、
それが仕事でもあるのですから、ずいぶん皮肉な人生だなと感じます。
やっぱり私は「好きなことを仕事にした」わけではなく、
「できることを仕事にした」のだな。
- 2021/12/11(土) 23:59:00|
- 創作
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0