母の散歩に付き合いました。
歳を経ると膝(ひざ)の裏が伸び切らなくなるらしく、
いわば少し「くの字」に折った感じのまま固まりがちだとか。
歩くことで凝り固まった筋肉や腱をほぐして可動範囲を拡げ、
転びそうな時など、咄嗟の反応に追いつける身のこなし、
さらには睡眠時の疲労回復度も改善させます。
幅の広い農業用水路に沿って歩くと、鯉やら亀やらを見ます。
そう云えば、何年か前に冬場の導水が極端に減って水位が低下し、
大きな鯉を手づかみ出来ることがありました。
あまりに水位が低くなり過ぎて行き場を失った鯉は、
酷いものは干上がった水たまりで窒息していたりしたのです。
見かねて用水路へ下り、体長1メートル前後もある鯉を抱き上げると、
およそ生涯で初めて「水の抵抗から解かれた魚の筋力」がいかなるものか、
さながら丸太が暴れ回るかのような力に度肝を抜かれることになります。
十数メートルほど移動して水位が保たれた場所で解放すると、
文字通りに水を得た魚は、ここぞ主戦場とばかりに体勢を立て直す。
母は泳げないので、夏場は身長を軽々と越える水位の用水路へ下りたり、
好奇心で魚を追い回すといった男児の嗜好には無縁です。
その意味において貴重な体験だったとか。
この用水路へ来ると、必ずと云って良いほど当時の話になります。
父が何度も見たというヌートリア、滅多に飛来しないカワセミ……。
川に下りて鯉を運ぶような出来事が、この先でも起こるでしょうか。
- 2020/10/21(水) 18:39:36|
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