実家で昼食を済ませた後のことでした。
帰ろうとすると……財布がない。
この少し前、母の買い物に車を出して帰ったばかりです。
寄ったお店はスーパーだけで、帰り道も記憶に残っています。
たしか車を下りて買い物袋に入れたはずなのに、ない。
実家の中を探したものの、やっぱりない。
お店で問い合わせてみるも届けられていない様子。
自分の行動が記憶どおりなら、落としたのは駐車場から実家までの1分間。
しかし付近には落ちていないし、不安な要素が一つだけありました。
「車の屋根に置いた記憶」がある。
ただし、それは買い物の前に寄ったセルフ給油所での記憶であるはず。
それでも記憶が間違っていたら、屋根に載せたのがスーパーの駐車場なら、
こんな間抜けな話もありません。
あの財布は妹が私に買ってくれたものです。
買い物に付き合った際、何か欲しいものはないか聞かれたので、
ボロボロになった財布を替えるため安価なものを頼んだのでした。
直接スーパーに伺ってみるも、やはり報告はなし。
仕方なく警察署へ行って届け出ることになりました。
「では、落とした時間帯と財布の特徴ですね」
「午前中です。 色は黒で、これくらいの大きさ、厚みはこれくらい」
「午前……ん? えーと、カードとかは入ってました?」
「**銀行か++銀行……あっ、**銀行なら確実に入っています」
「これはー……」
「それと現金が****円」
「現金は****円、ですね?」
「? はい」
「これは……出てますねぇ」
「本当ですか?!」
「ええ、XXX交番に届けられてます。 道は……?」
「帰り道です!」
「そうですか、ではそちらでお受け取りください」
スピード解決というやつでしょうか。
おそらく届けが出てから小一時間内のことでしょう。
その後、地元の交番で財布を引き取っています。
「届けられた方は、お礼は辞退されてますので」
「でも、その方の連絡先とかは……」
「申し訳ない、それは規則でお教えできないんです」
「いえ、せめて感謝をお伝えいただきたくて」
「分かりました、そのようにいたします」
「よろしくお願いします」
中身は全くの手付かずでした。
従妹から貰った手紙や、知人の子がくれた遊戯王のカードも入っています。
そういうものを"お守り"代わりにしていて、いつもパンパンに膨れている。
名も知らぬ方に感謝しつつ、仕事に戻りました。
- 2019/10/13(日) 20:24:00|
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