直近の仕事に全力を尽くしておりました。
ラフの段階でも全力を尽くすのは、これが行き先を決めるからです。
この仕事に携わった初期には、ラフはラフとしてだけ描き、
あとはそれを見ながら描くという手法を取っていました。
しかし細大に関わらず思ったように描けなかったのです。
その後、ラフをトレースする形に変わっています。
大抵は弄る箇所が膨大なので「そこそこ似ている完成品」となりますが、
ラフ時の閃きや感覚を引き継がせやすく、"道草"を減らす効果がありました。
ここで云う道草とは、ラフを踏襲せず手癖で描いて失敗することです。
私は見ながら描くのが苦手で、学校の美術でも同じでした。
描き写す対象に視線を移すのが苦痛だったようですね。
しかし、ラフがあり本番(ブラッシュアップ)がある"仕事"において、
いちいち道草を食っていては瞬く間に〆切が迫ってしまいます。
定められた期日に納品することも仕事の一つです。
従って、トレースに変えてからはラフが全体の出来を決めてしまいます。
ガチャリとチャンネルを切り替えるように、意識と感性の手綱を引く。
冒険が減り、偶然が減り、「なんとなく上手く描けた」という幸運も減り、
かわりに一撃で心臓を射抜くような矢を射る。
職人ってそういうものだと考えています。
- 2019/09/11(水) 23:59:00|
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