弟が車のバッテリー上がりで救援を求めたので行ってまいりました。
その場所はシャッター街へと変わりつつある古い商店街にあり、
数十年前から掲げているであろうボロボロの看板やらを目にします。
鉄工所、贈答品店、金物屋、酒店、文房具店、たばこ屋、呉服店、
洋菓子店、クリーニング店、家電店、薬局、宝飾品店、美容院、
家具店、司法書士事務所、古本屋、人形店、寝具店、カメラ屋……。
それぞれ一人一役を受け持つ分かりやすい並びでありながら、
ちょっと歩けば似たような店もあり、それでも需要があった場所。
殆どは道路に面して似たような広さの敷地に店を構える格好で、
出し抜けに大きな店はなく、錆の浮いた庇の鉄パイプが痛々しい。
車ではなく、歩く人の往来が主体であった頃の佇まい。
8割くらいは、前にシャッターを上げたのが何年前なのか分からず、
開いていたとしても住人が出入りするだけの玄関がわりです。
これらの全てが現役で営業していたら、なんと賑やかなことか。
それでも私は、この息を潜めて隠れたような景色が好きです。
いつか失われてしまうことを思うと、今は絶好の機会ではないのか。
活気に満ちていたであろう頃に行き交った人々の幻を見るには、
もしかしたら、私は最も良い時代に生きているのかも知れません。
この商店街が輝いていた頃の様子を、記憶のどこかに保存しています。
背丈が大人の半分にも満たなかった頃の、自分の視線を思い出しました。
- 2017/11/02(木) 23:59:00|
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