少年時代を過ぎると昆虫が苦手になる男性は多いと思いますが、
私は子供の感覚が抜け切らないのか、カナブンやらカブトムシやらは平気です。
刺されたり怪我をしたりする可能性がないなら、発見しても驚きません。
そして菜園へ入り浸るようになってからは免疫が向上したらしく、
あれほど嫌いだった幼虫も、小さければ摘まんで除くくらいは出来ました。
ただし、さすがに大きなものは一時的に鳥肌が立つし、できれば避けたい。
そんな本日、とある通り道に沿った柵に大きな幼虫が居ました。
食害している植物と大きさからしてキイロスズメの幼虫で、体長は100mm程度。
「うぅあああ……居た……」
「何よ」
「そこ、でかいやつ」
この日は母の用事で車を出していました。
母は山育ちで苦手な虫などなく、こうした幼虫も指で触れるなど造作もない。
「こんなの平気よぉ、ほら、お餅みたいな感触」
「餅……ねぇ」
私は"同じものを避け続ける"のが嫌いです。
さっさと慣れてしまえば何でもないことで、長いこと思い煩いたくない。
夏休みの宿題を最終日に持ち越していた子供も、そこそこ変わった様子。
これで平気になれるかも知れない……と、私は決心してしまいました。
人差し指を伸ばし、今まさに積年の嫌悪に決別せんとした瞬間───
「ホラッ!」
「おおわぁぁぁぁぁ!!!」
母が急に私の背中を押しました。
この一瞬に、指で虫を押し潰す様を想像して反射的に手を引く私。
「あっはははははは!」
「バカ! バカか! バカじゃないの?!」
口から心臓が飛び出しそうな仰天とは、こんな感覚なのでしょう。
虫は潰さずに済みましたが、親に向かってバカを連発するほど動揺しました。
人の決心を泥足で踏みつけるとは、許すまじ。
母は蛇やカエルが苦手だったな、さて……。
- 2016/09/08(木) 23:59:00|
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