一晩ずっと机に向かい、殆ど仕事が進まないと背筋が凍りそうになります。
こういう緊張がないと堕落する一方ですが、夕涼みには早い時間です。
今日はそれくらい暑い一日でした。
私が仕事で最も頭を使うのがラフです。
ラフさえ上がってしまえば、あとは完成まで形を整えるだけ。
毎度こうして真っ白な紙面の中に想像を放り出される時、
出入り口や継ぎ目のない部屋に閉じ込められた気分になります。
「さて、どうやって脱出したものか」と考えるのが私の仕事です。
空想の世界は自由かつ無責任であり、怪物そのもの。
その怪物は、部屋を破壊するか瞬間移動で脱出することができ、
ようやく閉じ込めて安堵した人間を震え上がらせる存在です。
そんな奴が部屋から出て来ない。
中で死んでいるのか、出ることなど諦めたのか。
ふと思いましたが、怪物とは私の体力や気力そのものです。
何もない部屋で途方に暮れている内は、獲物を引き裂く牙や爪などなく、
鋼鉄の壁を破壊する腕力もなく、30メートルの跳躍を見せる脚もありません。
とりあえず一晩中、何もない部屋の壁をボケッと眺めた私は、
明日までに脱出の算段を整えねばならず、今のところ何も思いつきませんでした。
出られるかな? 明日の昼頃までだぞ。
- 2016/08/21(日) 23:59:00|
- 創作
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0