第27緑化地区

フリーイラストレーター七片藍のブログ/第27緑化地区

可能から不可能

引っ越す前のご近所さんだった方から、急に呼び止められました。
挨拶する程度の関係で、会話した記憶がないほどの人です。
お歳は60歳過ぎくらい。

「あの、ちょっとお兄さん、これ見てくれる?」
「はい?(もうおじさんだけど)」

押し歩いている自転車を指差しています。
どこか故障でもしたのかと思ったら、「乗ってみてくれ」と。

しかし私が乗ってみても問題箇所は無く、普通に走れます。
聞けば「上手く漕げない」と仰るのです。
そうは云われても問題はありません。

気になるのは、本人が何度か同じ台詞を繰り返しているところです。

「こないだまで乗れたのに、急に乗れなくなったもんだからねぇ」
「ちょっと乗って漕いでみて」
「乗るの? 私が乗るの?」
「僕が乗っても問題ないみたいだから」

上記の会話を、三回ほど繰り返しました。
単純に耳が遠くなったのかと思っていたのですが……。
この人は、珍しく自転車の右側から乗ります。
普通スタンドなども立てられる左側から乗るものです。

「恐い、恐い恐い恐い!」
「……?」

飛び乗ってサドルに腰掛けるまでは良いものの、
そこから左足で一回を漕いだ後、右足で漕げていない。
カコンカコンと、拙く前進したかと思うと降車します。
本人に体調不良などはない様子。

(どういうことだ?)

その後も何度か試して頂きましたが、結果は同じ。
ペダルやチェーン等、可動部分には何の問題もないので、
答えとしては、「本人が漕いでいない」ということになります。
そうこうしている内に、知り合いが通り掛りました。

「こんちはぁ、何やってんの?」
「あ、こんちは、いや自転車に乗れないって云うから……」

三人になったところで、もう一度試してもらいました……が、
結果は変わらず、やはり「二回目を漕いでいない」。

「なんで?! 今まで毎日乗って回ってたじゃないの!」
「僕もそう思うんだけど……」

これまで自転車に乗っている姿を何度も見ています。
どうかすると、昨日も見ていたかも知れないほど日常でした。
それが急に乗れなくなっている。
こんなことって、あるでしょうか。

私は医者ではないので、どこからが何らかの病気であるのか、
自転車に乗れなくなることと老化が関係するのか、
それは分かりませんが───

「ある日突然、『当たり前に出来ていたこと』が出来なくなる」

───何か冷たい衝撃をもって、ナイフで背中を刺されるような、
受け入れ切れない現実に、ただただ戸惑うだけの自分が居ました。
否、それは私が「受け入れたくない」のか。

私は独身で長男です。
心のどこかで、きちんと覚悟しておく必要があるかも知れません。
  1. 2010/09/06(月) 20:50:40|
  2. 日常
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<チャレンジ | ホーム | めりはり>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://7hira.blog20.fc2.com/tb.php/127-b9fd98d5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

七片 藍

Author:七片 藍
フリーイラストレーター

当ブログについて
:本家[ether]
:mixi[499935]

カレンダー

01 | 2020/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

カテゴリ

絵:執筆情報 (63)
ソーシャルゲーム系 (28)
TCG系 (14)
書籍系 (17)
絵:個人作品 (14)
トップ等 (10)
聖域 (1)
悪魔 (1)
神威 (1)
ほか (1)
日常 (3430)
創作 (85)
DIY (100)
菜園 (590)
疑問 (3)
ゲーム (27)
スポーツ (2)
探しもの (6)
生物 (49)
未分類 (2)
修理 (8)

検索フォーム

最新コメント

月別アーカイブ

QRコード

QR