ふた昔

私は1999年・七夕のサイト設立から公開日記をつけており、
数年前にブログ化し、そのブログとは別に4年前から個人的な記録を始めましたが、
そもそもの動機としては、作品を更新できない期間の繋ぎを目的としたものでした。

これまでに続く二十代からの記録で最も古いものは1999/07/07。
以降に起こったことの大半は日記を読み返せば分かるのです。
私が継続している習慣の中で、自分にとって価値あるものの一つ。

先日、高校時代の友人と会う約束をしていました。
何人か居た級友のうち、ブログで過去に何度となく登場した友人ではなく、
「成人する前」に「一度だけ」会って話した私の古い友人。

この「一度だけ」とは、卒業後に私が手配して市外の母校前に集まり、
学生時代の放課後と同じように過ごした一日きりのことでした。

その彼が、数日前に私の実家へ電話を入れてきたのです。
卒業アルバムに載っていた電話番号が生きていたので、それを頼った様子。
アルバムに挟まれていた、私からの古い年賀状を見て連絡をとる気になったとか。

どうでしょうか。
20年も会っていないと「あぁ、うん」という感じになるか、
再会しても話題が合わないことを見越して、少し及び腰になりそうなものです。

しかし、この日の私は彼に詫びています。
ともかく会うことになって、集まったのは私と友人A、友人B。
Bが電話を寄越してきた友人です。

路に迷って一時間ほど遅刻して現われたことで三人が揃いました。
20年も会わないでいると互いに体型も変わり、正直、見れたもんじゃない。

Aの奢りで昼食となり腹を満たしている時、ふとBが云いました。

「以前、お前のアパートに行った時さ」
「は?」
「泊まったじゃんか。 部屋のこっち側に熱帯魚の水槽があって───」
「……なに? うちに泊まった? お前が?」

私が独り暮らしを始めたのは「成人した後」のことです。
部屋に熱帯魚水槽があったことも知っているということは、
彼と再会したのは一度だけではないことになる。

すると、私と同じ心境であったはずのAが古い記憶をたどり始めました。

「んー……あ、七片の部屋で雑魚寝した……っけ?」
「そう、したした、コタツで寝た」

AとBが知っているのに、私だけ記憶がない。
日記では───待てよ、日記だって?

「で、『熱帯魚かスゲーなぁ』って、俺も買おうってなったじゃん」

日記は、1999年以後の出来事しか記録されていない。
彼らが口にした出来事は、サイトを開設するより前のことです。

「あ、あ、あ~……待て待て、なんか思い出した」
「んあ?」
「ほとんど思い出せないけど、そうだ、うちに来てるな」
「だろー?」

それでも全体の1割しか記憶が掘り起こせない。
私がバイクの免許を取る前のようで、おそらく21歳の時がそれです。

「来てる、それだけは思い出せた……あぁ、これは詫びなきゃな」
「俺は憶えてるぞ?」
「すまん、本当にすまん」

再会することを少しでも迷った自分が情けなくなりました。
彼が20年前のことを憶えているのに、私はさっぱり忘れている。
今日まで思い出すことがなかった───たった一度さえ。

それから色々と話しました。
彼の持病の話、私と同じく父親を亡くした話、母親の介護の話。
20年も経って私に連絡をとったのは、気苦労を吐露したかったのもあるはず。

その後に移動して熱田神宮を参拝し、二人の友人が健やかであるよう祈りました。
あえて自分のことを祈らないのは、ここ数年で弟に倣った祈り方。

やはり、記録と記憶は大切です。
プロフィール

七片 藍

Author:七片 藍
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