第27緑化地区

フリーイラストレーター七片藍のブログ/第27緑化地区

勝利を手繰る人差し指

知り合いの男の子と話す機会がありました。
彼は同級生の息子で、日ごとに生意気さを増すようでいて賢くもある小学6年生。

もはや私自身が中年で、目の前に居る少年を子供と呼べる歳になると、
自分と、そして同級生の息子という位置づけを"世代"として区切った上で、
どれくらい離れているかを計り、言葉や習慣などを切り替えて話す必要があります。

とは云え相手はまだ小学生で、すると共通の話題は少なくなり、
それでいて関心のある物事となると、昔も今も変わっていないのは「遊ぶこと」。
子供にとっては何より重大なことです。

そして親子の距離ほど離れた世代にも通用する遊びは、簡素で特殊が道具が必要なく、
そこにローカルルールなどの差を見出すこと自体すら子供にとって興味深い事柄。
つまりは鬼ごっこやかくれんぼの様な、誰もが体験するであろう遊びです。

この日は「指相撲」でした。
こんな遊びが今でも残っているのは、あくまでも学校が勉強をする場所で、
ゲーム機を持ち込めるような軽率な環境ではないことが継承されている証拠です。

「じゃあ、"けたぐり"って知ってるか?」
「なにそれ」
「知らんのか! まぁいいや、教えてやる」

これが全国的なものかは知りませんが、少なくとも私が子供だった時代には、
指相撲には「けたぐり(蹴手繰り)」なるズルい勝ち方があったのです。

指相撲といえば、自分と相手の人差し指から小指までを互いに握りこみ合い、
残った親指で相手の親指を押さえ込んで、10を数えるまで拘束できたほうが勝ち。
互いに親指を立てたままでは勝負がつかないので、いつ攻めるかの駆け引きもあります。

しかし「けたぐり」とは───

「いいか、こうだ、ほれ」
「ちょっ、ズルいじゃん!」
「なら使っちゃダメって云わなきゃなァ、はい、1・2・3・4・5・6……」
「わあぁ! あはははははは!」

───突如、人差し指を使って相手の親指を手前に引き寄せ、
さらに自分の親指で押さえ込み早口で10を数え切るという、そういう方法なのでした。

子供の感覚では、秒読みが始まると拘束を解くことに集中してしまい、
ルール違反に対する抗議も忘れ、それでいて一応の敗北となります。
それゆえ彼は負けているにも拘らず楽しそうなのです。

「これが"けたぐり"だ」
「はぁぁ……でもそれじゃ絶対に勝てちゃうじゃん」
「勝てるけど、それは勝ちとして数えないのがマナーだ」

それが笑いになり、そこから暗黙のルールになり、時に高度化したりします。
彼の表情は、どこか満足げでした。
  1. 2014/10/02(木) 23:46:34|
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