仕事を終えて実家へ行くと、同じく仕事明けの弟も来ていました。
この少し前に、弟から「バリカンを持ってきてー」と電話があります。
散髪したかったようです。
髪を切る時、床屋で刈ってもらうか自分で切るかに分かれますが、
こうして我が家が自前で散髪を始めて数十年になっている経緯には、
当時の実家の家計と、何よりその発端となる弟が関わっていました。
というのは、まだ弟がヨチヨチ歩きの頃に床屋へ連れて行ったところ、
散髪を嫌がって泣いたため、いくらか割り増しを取られたのです。
「泣くたびに追加料金を取られるし、
何度か散髪すればバリカンを買えちゃうじゃない」
……こんな理由で母はバリカンを買うに至ったとか。
以来、高校から身だしなみを気にするようになった弟はともかく、
自分の外見に関心のない私に及んでは、学生時代の全てが自家散髪でした。
そんな弟も仕事で忙しくなると形振り構っていられないようで、
「もう実家で済ませよう」と、仕事明けに転がり込んできた様子。
しかし母はプロではないし出来ることにも限界があります。
「ここをこう───この線に沿って刈ってほしいんだけど」
「めんどくせぇ、もうマジックで頭皮に線を引くか」
「あんたは坊主頭だから、失敗しても頭を黒く塗ればいいわよねぇ」
私は自分で坊主頭にしてしまうこともあり、
難しい注文をされる母に代わって散髪することになりました。
「そうそう、そんな感じ、兄貴うめーな」
「難しいぞこれ」
「いいよ、失敗したら坊主でも」
1時間ほどかけて、本人の希望通りになったようです。
「うん、うん、あーこれでいいや、兄貴ありがと」
「風呂に入れ」
散髪スキルに何ポイントか加算されました。
- 2013/03/22(金) 22:22:31|
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