まだ足りない

待ちに待った雨も終日とはならず、畑の土にとっては腹七分目。
ただし雨が降ったあとのほうが良い作業もあります。
杭を立てることです。

畑に支柱を立てる時、そのまま土に突き刺しても大抵は倒れてしまいます。
これを避けるには木製の杭を打ち込んでやると良いのですが、
ここ数週間のような晴れ間に立てても、雨が降れば倒れるのです。

これは雨で土が軟らかくなるためで、杭を立てるなら雨が降った後。
軟らかい土に深く打ち込むことで倒れにくい杭となります。
さらに雨が降るとグラつきの隙間に土が入って補強されるのです。

杭が刺さる深さは雨の前後で数十センチの差があります。
1メートルの杭では土が渇いていると3割くらいで止まり、
雨が降った後は4~5割くらいの深さまで。

支柱が必要な夏野菜は、キュウリ、トマト、ナス。
どれも結実した重みで枝が疲れるため、そこを支えるわけですね。

次の雨は数日後か……。

穴の明いたバケツ

母の散歩に付き合った道中、除草作業をしている高齢主婦の方に会い、
道行く先が行き止まりであること、すぐ後ろに畑があることを知らされました。
しかし、ちょっと地形が変わっています。

畑は、町工場の裏手にある空き地のような場所。
私たちが会話している場所は、そこから80cmくらい低い畦道(あぜみち)。
畦道は表通りから緩やかな傾斜で下り、この高低差を作っているようでした。

しかし、もとの地面より高くするには嵩(かさ)を増す必要があります。
空き地に作られた畑の土は砂を多く含んだものでした。

「上手く育たなくてね」
「水はけは良さそうですけど、たしかに難しそう」
「そう、水はけだけはいいの」

土と砂の違いは有機物が含まれるかどうかです。
そして砂は保水力に乏しいため、野菜の根は水を吸い上げにくくなります。

堆肥や残渣を仕込むなり、有機物を含ませて土壌改良を図ることも出来ますが、
もともとの土壌に砂が多すぎるのか、野菜を育てるには厳しい様子。
路面に張り付いたガムのように、ぺったりと盛り上がりのない畝が物語ります。

それでも野菜を育てる意志に曇りはないようです。
ヤーコンやビートの話題を出すと、興味があるとのことでした。
前者については種芋を譲る約束をしています。

年々インフラ整備が進み、大きなマンションが増えつつありますが、
まだまだ畑や水田の多い地元を離れられない理由が分かりました。

こういう人間同士のやり取りも面白いからです。

寝床の快適性

空いた土地にバジルを植えました。
知り合いに南米出身の方がいて、バジルの生葉はありがたいのだとか。
先日に我が家の食卓でも入用だったため育てることになったのです。

さて今季は多めの石灰を施したことで元気のいいビートは、
そこそこ順調に塊根が育ち、これまでの挑戦では一番の出来となりました。

我が家が管理する畑では、残渣(ざんさ)を埋めて分解する手法をとります。
残渣とは、いわゆる可食部をのぞいた「食べない(食べづらい)」部分。
野菜くずなどの、現状では捨てるしかない部分のことを指します。

トマト、ナス、ピーマン、キュウリ───スーパーで目にする野菜は多かれど、
それらは食用に適した大部分のみを対象とし、それ以外は廃棄されます。

可食部でないものまで付いている場合は、そもそも除去しづらいとか、
除去すると可食部が傷みやすい、除去しないほうが保存しやすい、
あとは食べなくても見た目が良いという理由でしょうか。

トマトやナスのヘタ、ピーマンのワタ、玉ねぎの薄皮、シイタケの石突……。
捨てることは容易いですが、残渣として埋めれば分解されて堆肥となります。

ただし分解時に活性化する菌は、生きている根まで分解し生長を妨げますし、
土壌のpHが酸性化するため、アルカリ性を好むビートには適さなくなります。
今回、それを見越して石灰を多めに施したのが功を奏した様子。

色々調べたみたところ、残渣で生じた菌が沈静化するのは30日程度とわかり、
仕込んでから一ヶ月ほど経過した上で酸性化に対処するのが良さそう。

石灰が残り少なくなって来たし、そろそろ調達しようかな。

「寝苦しい……!」

早朝と午前中の二回に分けて畑へ行きました。
2回目では「イチゴ用地で生長したジャガイモ」の収穫。
四日の日記に書いたやつです。

ほぼ全てを収穫してみたところ、"出来"については一定しませんでした。
もともと予定していた土地ではないことが最大の理由なのでしょうが、
畝(うね)と土着せでは、株元に寄せる土の重量が異なるからです。

土着せは株元に土を盛るだけの単純なもの。
これに対して畝は幅50cm、高さ20cm弱、長さ2~数メートル。

前者が一枚の羽根布団だとして、後者は敷布団を掛け布団にするようなもの。
畝の下に(収穫忘れの)種芋があっても、土が重くて小芋が作りづらいのですね。
おまけに本来の作物であるイチゴが根を張っていて、株が育ちづらい。

一つの株に対して、握り拳よりも大きなものが一つずつ育った程度で、
あとはピンポン球より小さなものがせいぜいと、全体的にこんな感じ。
ジャガイモとしては「布団が重くて疲れた」ということでしょう。

それでも収穫するとスーパーでの2~3袋分くらいに相当する量です。
予定になかった収穫ですから、ちょっとしたボーナスみたいなものでした。

ところでイチゴは前年と比して収穫が思わしくありません。
昨年度は6月の半ばを過ぎても収穫があったのに、今回はサッパリです。
株の更新やら何やら、思い当たることは幾つかあります。

興味が尽きないなぁ。

泣かない雲

カーテンを閉め切ったたまま仕事をしていると時間の感覚が狂います。
「そろそろ夜明けかな」と思って時計を見ると9時過ぎでした。
夜明けの早さで明るさに鈍感気味なのかも知れません。

今日も殆ど仕事だけで一日が終わりました。
夕方に少し畑へ云って水やりをした程度です。

昨年に引き続いての空梅雨なのか、思わず昨年の日記を読んでみると、
やはり一日の雨に対して数日の晴れ間が続いているようでした。
週間天気予報でも平年以下とあります。

ううむ、また夜明けの水遣りが日課になるのか?

思わぬ出費と贈り物

机に置いた紙パック玄米茶が倒れ、キーボードが使用不能になりました。
昨日は徹夜だったので普段とは異なる時間帯に眠ったのですが、
夜中にトイレへ行く際、暗い部屋で手探りした時にやってしまったようです。

仕方なく安価なキーボードを買って解決。
おかげで仕事の提出物が3時間も遅れる始末です。

そんな中、知り合いに500mlビール1パックをいただきました。
古参の菜園利用者だった方の奥様で、ご主人は既に亡くなられていますが、
形見となった小型耕耘機は私たちが引き取って畑で使っています。

この耕耘機に何度となく救われており、のみならず農具を保管する小型物置、
コンポストや収納ボックス、石灰に油粕、防除ネットにロープ……と、
畑で必要とされるものは大抵が揃ってしまいました。

合計して1アール弱(100㎡)しかない菜園でも小型耕耘機の力は絶大です。
耕作時間を大幅に縮められることで、その他の作業が意欲的になります。
結果として全体的に環境が改善され、得られる収穫も多様になるわけですね。

ご主人の亡きあと、私たちは折を見て奥様に収穫の一部を届けています。
今もって活躍を続ける耕耘機に対する僅かばかりの感謝ですが、
本日は、その野菜に返礼をいただきました。

良い関係ということなのでしょう。
夏野菜も届けたいと思います。

「お・おいしい……」

仕事が済んだ後に畑へ行き、ラッキョウを収穫しました。
もともとこれは母が用水路の護岸に自生していたものを採取し、
それを畑の端っこに土留めとして植えたのが始まりです。

ラッキョウと云えば福神漬けなどと同様にカレーにも入れたりするようですが、
私はこれが苦手で、「しょっぱい・酸っぱい・甘い・辛い」が一度に刺激され、
どうしても美味しいと感じることが出来ません。

しかし、それが気に入らない───「美味しい」と思って食べたい。

ひとえに私が慣れていないことが問題であると思い、
折に触れて食べるようにしていますが……慣れない。
市販のものに限らず、知り合いが漬けたものも同様です。

ええい、私は美味しく食べたいんじゃよ。
まだ努力が足らんのでしょうか。

採れ立ての香りは好きなんだけどなぁ。

思わぬ収穫

収穫し損ねた芋が種芋となってジャガイモの株ができる話は書きましたが、
ジャガイモの株元に用土を盛ると、そこからも芋が生えて収穫量が増します。
これを土着せ(土寄せ)と云い、ジャガイモを育てる上で知られる手法です。

しかし、これまでは用地の管理が下手だったので土着せを行わず、
最初に種芋を仕込んだ時から放置するだけでした。
土着せを始めたのは今年から。

そんな本日、ちょっと面白いことが起こりました。
畑を見回りに行って母がイチゴ用地に生えたジャガイモを見た後、
「これ凄いよ」と、立派に育ったジャガイモをよこします。

「そっちが?!」
「まだある……あーあー、これも大きいわ」

くどいようですが、これは「イチゴの用地に生えたジャガイモ」です。

この用地で昨年にジャガイモを育てたものの、さほど収穫量はなく、
さっさと耕して畝(うね)を立て、イチゴを移植したのが今年の2月

通常、土着せはジャガイモの株が少し生長するまで待ってから施します。
しかし、この「(収穫し損ねて)イチゴ用地に生えたジャガイモ」は、
イチゴのために立てた畝が土着せを施した構図となってしまったようです。

よって結果的に品質が良くなりました。
イチゴの収穫量が減ったのは残念ですが、立派なジャガイモを見たら……。

ますます面白くなってきました。

「お前たちには飽きた!」

根切り虫を退治したと思っていたジャガイモの株が倒れていました。
しかし根元を掘っても小さな幼虫しか出てこない……不安です。
そこそこ立派に葉が展開したのに、ここで枯れてほしくない。

この被害を物理的に防ぐ方法もあります。
縦に切れ込みを入れたストローを株の根元に巻いておくのです。
茎をかじられず、切れ込みが茎の太さに対応し生長も妨げないわけですね。

しかし土着せをすればストローを巻いた箇所が埋もれてしまいます。
よって土着せ後に巻き直さねばなりません。

その程度の作業ならば一手間で済みますが、問題はストローそのもので、
うっかり回収を忘れると地中に分解されないゴミを残すことになります。
土着せごとの巻き直しと、脱落時の回収徹底が必要です。

……ビニールチューブで自作しようかな。
直径20mmくらいまで対応できる大きさなら、土に紛れても見つけやすそう。

神経質

酸性土壌を嫌うビートのために石灰を施し、pH値を引き上げたのが四月の話。
石灰の量が多かったのでアルカリ性に傾きすぎたかなと心配しましたが、
無事に発芽し、その後の生長は意外と成績が良いです。

しかし、このビートには少々クセがあります。
いわゆる「引越し」をすると枯れてしまう性質があるのです。
発芽したばかりでも、ある程度まで生長させても結果は同じ。

「用地の端っこで倒れかけていたから」という理由で移動させても、
たっぷりの水を与えても、土ごと移動させてもダメなものはダメ。
とにかく発芽したら何があっても動かさないことが重要らしい。

たまに、野菜ではなく人間を相手にしているように思えてきます。
プロフィール

七片 藍

Author:七片 藍
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